ずっと、国にネグレクトされている感覚だった。
好きな人、と言われて思い浮かぶのはいつも同性の人でした。
私は将来好きな人とは結婚できない。ストレートの友達が普通に思い描ける未来を私は得られない。結婚の話になると何もイメージが湧いてこない。
毎回そう虚しくなると同時に、お前は間違った存在だ、そう突きつけられるようだった。
生まれ育った国の制度に自分が想定されていないということは、存在が認められていないのと同義という感覚でした。
婚姻以外の様々な制度には概ね違和感を抱くことなく恩恵を受けています。
それでも、自分のアイデンティティの大きな要素である性的指向が国に認められていないことは、自己肯定感を欠くには十分な理由でした。
家族・友人にすべてを曝け出せる勇気もなく、常に後ろめたさを伴い、自己肯定感がないため何かあるごとには自己否定する日常。
20代の終わりも迫ってきている私は様々なライフイベントを経て、ようやくそんな自分を受容できるようになったけれど、
自死を選ぶ同志と、選ばなかった私の違いは、一本の境界線を越えるか越えないかただそれだけだ。
それくらい、死は身近な感覚として、これまで生きてきたように思います。
同性婚訴訟で違憲判決
同性どうしの結婚が認められないのは憲法に違反するとして北海道に住む同性カップル3組が訴えた裁判で、札幌地方裁判所は「合理的な根拠を欠いた差別的な扱いだ」として法の下の平等を定めた憲法に違反するという初めての判断を示しました。
だから、このニュースを見て、目頭が熱くなったし、本当に本当に本当に嬉しかった。
同性婚を認めないことは憲法14条‘’‘法の下の平等’に違反していると司法が判断してくれた。
異性愛者が得られる法的な利益を同性愛者が得られないのは平等ではないと明言してくれた。
正直、保守的なイメージがある日本で同性婚が認められるのはまだ時間がかかるのだろうと悲観的に見ていた中で、心から嬉しい驚きでした。
もしかしたら、日本で心から好きな人と結婚できるようになる日は遠くないのかもしれない。
10代の頃の私のように、当事者がセクシャリティ自体のことで悩んで苦しむ日々を送らずに済む。
そんな未来が来るのかもしれないと希望が持てた、画期的なニュースでした。
同性カップルに関連する最近のニュース
嬉しいニュースは他にもあります。
従来は、婚姻関係にある男女の一方が同性と不倫をしても、不貞行為には当たらないとの見解が有力だった。
女性側は「不貞行為は異性との間にのみ成立する」と主張したが、内藤寿彦裁判官は「異性に限らず、夫婦生活を破壊するような性的行為があれば不貞行為に当たる」と退けた。
2つ目のニュースは、カップルなのか?という議論は置いておいて、今までは異性愛と違う見方をされていたところが変化した点で大きな判決だと思います。
こういった新しい司法の判断が行政を動かせてくれることを強く願います。
おわりに
セクシャルマイノリティーの人権に関する議論はここ数年で活発になされている印象があり、今がまさに発展途上であると感じています。
議論が活発化されることでセクシャルマイノリティがより可視化され、偏見を恐れて主張できない人も多いけれど、
私たちはずっと存在して普通に暮らしていること、その認識が広く浸透してほしいと思います。
こんなに嬉しい希望を抱けたことは、ひとえに、同性婚訴訟の原告・その弁護団の方々のご尽力のおかげです。
及びもつかない程のたくさんの労力、時間を尽くして下さっていることだろうと思います。
心から敬意と感謝を表します。
存在を発信し続けること。声を上げること。
私には私にできることを続けていきたいと思います。
Marriage For All Japan – 結婚の自由をすべての人に
結婚の自由をすべての人に - Marriage for All Japan -
同性婚実現に向けて活動されている組織。オンライン配信、マリフォー国会は必見です。
分かりやすい解説(NHK 時論公論)
画像で分かりやすい解説(パレットトークさん)
同性婚訴訟、札幌地裁の違憲判決って、結局どういう意味?弁護士の先生に聞いてみた#結婚の自由をすべての人に #札幌0317#パレットーク pic.twitter.com/mannKWcuui
— 漫画でわかるLGBTQ+ / パレットーク (@palettalk_) 2021年3月18日